三菱東京UFJ銀行の国債に関する提言


よく囁かれている日本国債暴落論。
色々諸説飛び交っていますが、非常に興味深いレポートを見つけたので紹介したいと思います。

<日本国債の国内消化構造はいつまで維持できるか>
http://www.bk.mufg.jp/report/ecorevi2010/review100428.pdf
-三菱東京UFJ銀行-


興味深いところは
・三菱東京UFJ銀行という国内最大級のメガバンクが書いている
・レポートが2010年に書かれたもの
という点です。

どこかの経済評論家が書いたものではなく、国内最大級の金融機関が会社の名前を使って発表し、2010年時点(民主党政権時代ね)での展望を7年後の今検証できるということで非常に興味深いレポートになります。

中身を読ませてもらいましたが楽観的な内容ではなく、かなり『直接的』なメッセージを国に対して発信しています。

レポートの要約をすると以下になります。
※試算の前提は消費税5%前提、企業の借入が32兆/年で減少していく

①2010年時点で国債残高は637兆円
政府債務残高についてはGDP比187%に達している

②2010年時点で利回りは低水準で安定(国内で消化ができている)
94.8%が国内で消化、利回りは10年債で1.3%

③2010年時点で国債の保有シェアは殆どが金融機関
・銀行:41%
・保険、年金基金:21%
・一般政府:11%
・日銀:9%
・海外:6%
・家計:4%

③今後、国債増発が予想され国内消化が難しくなるかも
歳出が増え、歳入は限定的、試算では以下の消化率になりそう
・2016年…74%
・2020年…64%

④今後、海外保有が増加したら高い利回りを要求される
海外からすると為替リスクが絡む日本国債はリスク資産扱いのため高い利回りが必要。
試算では以下の海外保有率になりそう
・2016年…8%
・2020年…14%

まとめ
このままだとやばいので抜本的な成長戦略と財政再建が必要、消費税も上げたほうがいいよね。


では、アベノミクスを経た2017年時点での国債を取り巻く状況はどのようになっているのでしょうか?前述の①~④に対応させて確認していきます。

①2017年見込みで国債残高は898兆円
政府債務残高についてはGDP比198%、国債の残高はわずか7年で1.4倍も増えています。

②2017年時2Q時点の消化状況
94.1%が国内で消化、利回りは10年債で0.057% (低っつ!)

③2017年時2Q時点の国債保有シェア
・金融機関:45%
日銀:41%
・海外:6%
・社会保障基金:5%

④海外保有率は大きく変わらず6%

2010年時点の見込みとは結構異なっています。
理由は日銀による国債の大量購入です

あれよ、あれよと国債の40%以上のシェアを取ってしまいました。
価格が上昇しているので当然利回りも下がります。

気になる海外勢についてはシェアは変わらずといったとことです。
レポートでは海外のシェアが増えると予想していましたが、ある意味力業で無理やり国内消化を続けている状況です。

ただ、発行残高の増加率などを見る限りではコントロールがもはや不能のところまで行ってしまっている感はあります。(先行きが暗いという見通しについてはレポートの通りだと思います。)

2010年のレポートを発表しただけでも三菱東京UFJ銀行は国債に対して相当の危機感を持っていたと思われますが、それを裏付けるように具体的な行動に出ます。

同行は、2016年7月に国債入札の特別資格(有利な条件で参加できる資格)を返上しました。マイナス金利の導入なども含め、国債の購入については少し距離を置きたいという明確な意思表示だと思います。

これにより基本的に国債に関する主要プレーヤーは民間銀行から日銀に完全にシフトしたことになります。
今後も日銀が買い入れを進める中でいつまでこの仕組みが維持できるのでしょうか?

レポートのまとめに書いてあった抜本的な成長戦略と財政再建の道筋が不透明である中、Xデーの到来が着実に近づいて来ています。



0 件のコメント :

コメントを投稿